テレビの姿が未来永劫変わらないなんてことはあるわけがない。そして,未来はすでに手の届くところにある。
quote:NHK放送技術研究所の展示会で,ネットワークを利用した番組リクエストサービスが公開されている。NHKが放送した過去1週間分の番組をすべて保存し,家庭のBSデジタルチューナーから番組をリクエストする。サーバーとは100Mbps LANで接続されており,ストリーミングで視聴できる。このシステムを実現するには著作権問題などクリアしなければいけない問題は多い。
この展示のウェブページをみた方がわかりやすい。番組が溜まっているサーバーとテレビの間にはネットワークアダプターとデジタルチューナーが噛んでいるが,より小さくまとめることは可能だろう。空から降ってくるデジタル放送波はリアルタイムの放送分でしかないわけで,ビデオやキャプチャでしかテレビ番組なんてみないヨという人なら必要ないのだから,デジタルチューナーの機能は大きく削れる。FTTHに小さい端末をかませば,過去1週間分のすべての番組にアクセスできる,という次の時代のテレビの概念は,実現すればすぐに根付くはず。そして,一部の人にとっては今のテレビのシステムはもう必要ない。
家庭でも,キャプチャ専用パソコンにある録画した動画ファイルを,100Mbps LANでつながれたほかのパソコンで開いてみることができる。もう環境は十分に整いつつある。もちろん,今回のようなシステムが簡単に実現するわけはないのはわかっている。だが,IPネットワークとひとつになることがテレビの唯一残された道であり,現在の音楽業界のような無様な姿をさらすよりは,覚悟を決めるべきだ。ネットワーク上に強豪相手が登場する前に(ネット専用テレビ局の開設など,地球上のどこかでいつあってもおかしくない話),先手を打つチャンスはあり,実際NHKはもっともそれをやるのに適している環境にある。テレビが,あした生きているために,必要なシステムがこれである,誰が拒否しようと,誰が制限をかけようと。
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